介護のビジネス化によるビジネスケアの幕開け
社会福祉や公的なサービスとして提供されてきた介護が、市場原理に基づいて企業や民間事業者が参入し、収益を追求する事業として展開される現象
<介護のビジネス化が進む背景として>
〇急速な高齢化と要介護者数の増加
2025年は団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、介護サービスの需要は爆発的に増加する。公的な社会福祉サービスだけでは、この膨大なニーズに応えきれないという認識が背景にある。
〇介護保険制度の導入
介護保険制度が、民間事業者の参入を可能にし、市場競争原理を導入した。これにより、サービスの選択肢が広がり、利用者にとってはメリットも生まれ、事業者は介護報酬として収益を得る仕組みが確立した。
〇多様なニーズの顕在化
高齢者のライフスタイルや価値観が多様化し、画一的なサービスでは満たせないニーズが増加している。介護保険の範囲外で、よりパーソナルなサービス(自費サービス)への需要が高まってきている。
〇他産業からの参入
住宅、医療、IT、食品など、異業種の大手企業が、将来性を見込んで介護市場に参入している。自社のノウハウや技術を活かした新たなサービス提供を目指しているが、人材確保が困難になり停滞している。
〇テクノロジーの進化
IoT、AI、ロボットなどのテクノロジー(介護テック)が介護現場の課題解決に貢献し、新たなビジネスチャンスを生み出しているが、なかなか浸透・定着していない。
メリット
<サービスの選択肢の増加と質の向上>
複数の事業者が競争することで、利用者や家族は多様なサービスから自分に合ったものを選ぶことができるようになり、サービス内容や質の向上が期待される。
<サービスの効率化とイノベーション>
民間企業の経営ノウハウや効率的な運営手法が導入され、サービスの提供体制が効率化される可能性があり、新しい技術やアイデアが導入されやすくなる。
<雇用の創出>
介護事業所の増加は、介護職員や関連職種の新たな雇用を生み出すが、全産業の人材難に苦戦している現状はある。
<経済の活性化>
介護関連産業全体の発展は、新たな市場を生み出し、経済を活性化させる側面を持つ。
デメリット(課題)
<営利追求と質のバランス>
収益を追求するあまり、必要な介護サービスが抑制されたり、人員配置が手薄になったりするリスクが指摘され、質の確保と営利追求のバランスが重要となる。バランスが崩れた産業と比較し介護業界の給与所得に格差が生じてしまっている。
<介護保険財政への影響>
サービスの多様化や利用者の増加は、介護保険財政を圧迫する要因にもなっている。
<利用者負担の増加>
介護保険外の自費サービスが増えることで、経済的に余裕のない利用者にとっては選択肢が狭まり、ヤングケアラーの問題が露出した。
<地域格差の拡大>
採算がとりにくい過疎地域などでは、民間事業者の参入が進まず、サービス提供に地域差が生じるため、撤退も起こりえている。
<人材確保の競争激化>
介護事業者の増加に伴い、限られた介護人材の奪い合いとなり、人件費の高騰や離職率の高さといった課題が顕在化し、介護職の高齢化も問題化してきている。
利益確保のために最低限の人員で最低限のサービス提供となり、食材などの高騰もあり、食事の質の低下も起こり始め、介護現場で「誇り」が失われてきている。
介護従事者自身の経済的困窮に陥り、犯罪に手を伸ばしてしまったり、利用者へ暴力や暴言へとなり虐待ケースが増加している。


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